文献批評のための「カンニングペーパー」(英語論文の書き方)

リサーチ・レポートを書く際、他人の議論や見解をまとめ、それを評価する必要があります。そのようなレポートを英語で書くときに、Inger Mewburn博士の“Verb Cheat Sheet”(動詞のカンニングペーパー)というリソースが参考になると思います。

The Thesis Whispererというサイトで、オーストラリア国立大学にて研究教育を指導しているMewburn博士は、他人の研究の質(quality)を評価するときによく使われる動詞を、三つのカテゴリーにまとめ、簡単なリストを作成しました。

その動詞を見る前に、二つの注意事項に触れたいと思います。

“Is it good?” NOT “Do I agree?”

質の高い論文でも、賛同できないところもありますし、質の低い論文でも同意するところがあると思います。以下のカテゴリーのいずれも、自分が評価しようとしている論文の(quality)について、自分はどう思っているのかということを反映しています。

すなわち、“This work is awesome!”というカテゴリーは、必ずしも“I agree with everything here!”という意味ではなく、論文として良くできているという意味です。

同じように、“This work is poor”というカテゴリーは、「結論と同意できない」というよりも、「研究レポートとしての質が低い」を意味しています。

Feel free to make your own list

このリストは決して絶対的なルールに基づいていません。

例えば、“argues”や“concludes”という動詞のように、このリストに載っている多くの動詞は、質の高い論文についても、質の低い論文についても使われています。

しかし、それでも、これらの動詞を以下のように分類することによって、それぞれの言葉の意味合いをより良く理解するためのstarting pointになるかと思います。


スポンサー


増補改訂版 はじめての英語論文 引ける・使える パターン表現&文例集


さて、Mewburn博士がリストアップした動詞について、カテゴリーごとに考えてみましょう。私はここで、それぞれのカテゴリーをさらに分類してみました。

*Note: Mewburn博士の「動詞のカンニングペーパー」を印刷したい方は、印刷用のPDF、または、こちらのオンライン・リストをご利用ください。

This work is awesome!

自分が取り扱っている論文の議論を高く評価し、次のようなことが言いたいときに使う動詞。

1. 著者は論理的に論じている、テーマをきちんと取り扱っている、問題提起をちゃんとしている、などと言いたい時…

The author argues, discusses, outlines, explains, identifies

2. 著者は根拠を持って提案している、推理をしている、などと言いたい時…

The author proposes, predicts

3. 著者は結論している、何かを証明している、根拠付けている、などと言いたい時…

The author concludes, deduces, demonstrates, illustrates, integrates, proves

4. 著者は何かを批判的に分析している、根拠のある評価をしている、必要な区別をしている、などと言いたい時…

The author assesses, critiques, differentiates, discriminates, distinguishes, evaluates, examines

I feel neutral

自分が取り扱っている論文の質が特に高くもなく、低くもないときで、次のようなことが言いたいときに使う動詞。(ここでの“neutral”とは、自分が取り扱っている論文の質に対する自分の評価であって、学者としての自分が取るべき客観的な姿勢のことではないことにご注意ください。)

1. 著者は論じている、主張している、テーマを取り扱っている、解釈している、問題提起をしている、などと言いたい時…

The author composes, debates, develops, examines, interprets, outlines, organises (米organizes), performs, prepares, states

2. 著者は根拠を持って提案している、推理をしている、などと言いたい時…

The author proposes

3. 著者はこう結論立てている、何かを証明しようとしている、根拠付けようとしている、などと言いたい時…

The author applies, illustrates, produces, shows

4. 著者は何かを批判的に分析している、他人の議論を評価している、区別をしている、などと言いたい時…

The author appraises, classifies, contrasts, differentiates, selects, separates

5. 著者は他人の議論をまとめている、他人の考えを提供している、などと言いたい時…

The author paraphrases, relates, reports, restates, reviews, uses

This work is poor

自分が取り扱っている論文の質が低くて、次のようなことが言いたいときに使う動詞。

1. 著者が論じているというよりもただ意見を主張している、何もないところから考え主張している、自分の意見を正当化しようとしている、などと言いたい時…

The author asserts, constructs, justifies, states, tells

2. 著者は一般論を言っている、根拠がないのに何かを証明しようとしている、などと言いたい時…

The author generalizes, invents

3. 著者はあまり批判的になっていない分析をしている、根拠の無い評価をしている、きちんと区別していない、などと言いたい時…

The author changes, characterises (米characterizes), chooses, makes, selects

4. 著者は他人の議論をただ繰り返している、などと言いたい時…

The author recalls, recites, uses


スポンサー

  


The Thesis Whispererは数々の大変良いリソースを提供していますので、是非、ご覧ください。

サイトの管理者であるInger Mewburn博士は、オーストラリア国立大学(The Australian National University, 略称 ANU)にて、研究教育を専門とし、Director of Research Trainingとしてもご活躍されています。Mewburn博士によると

. . . I am responsible for co-ordinating, communicating and measuring all the centrally run research training activities and doing research on student experience to inform practice.*

***

注意:このリソースは、クリエイティブ・コモンズ(CC)継承(BY–SA)ライセンスの下で作られ、公開されています。ご利用の際、必ず原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、改変した場合には元の作品と同じCCライセンスで公開してください。


スポンサー


英文校正会社が教える 英語論文のミス100

スポンサーリンク
スポンサーリンク
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。