米国ニュースの偏りがすぐに分かる画像

アメリカの主なニュース・ソースの偏りが分かりやすく分析されたこの画像が、ソーシャルメディアで(アメリカ人の間で)流行っています。なかなか的を射ている解説図だと思います。

一目で多くのニュース・ソースの傾向が見えていて、多くの方は納得しているようです。

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全体の説明

横軸は“Partisan Bias”(党派的偏見)を表しています。左側が “Liberal”(自由主義)、右側が “Conservative”(保守主義)、真ん中が“Mainstream”(主流)となっています。

縦軸は“Journalistic Quality”(ジャーナリズムの質)を表そうとしています。

この画像が特に「面白い!」と思われているのは、左派と右派についての分析表現と読者へのアドバイスが的確で面白いからです。

というのも、特に、大統領選挙ニュースにうんざりしている多くのアメリカ人が痛烈に感じてきたことを図と言葉にしているから、注目を引くようになったでしょう。

また、この図の人気は、その言葉の書き方にもよるのだと思います。それぞれのコメントやアドバイスにビックリマーク(!)がなく、ピリオド(.)だけか、句読点を使わない文になっています。些細なことですが、淡々とした口調で語られているような効果を持ち、実際に偏っている多くの読者の警戒心を少し解いているのではないかと思います。

横軸の説明

全くのクズ / 陰謀説

最左側に“Liberal: Utter Garbage / Conspiracy Theories”(リベラル的、全くのクズ / 陰謀説)もあれば、最右側にも “Conservative: Utter Garbage / Conspiracy Theories”(保守的、全くのクズ / 陰謀説)もあります。

ここでのアドバイスは簡単です。“Don’t read this”と“Just no.”

「読まないでね」「とにかくだめ」というシンプルで健全な助言です。

こういうサイトの検索ランキングに貢献したくないので、リンクもnameも載せません。

Okay、ひとつだけ。画像の一番右下に“Breitbart”(ブライトバート・ニュース・ネットワーク)というオンライン・ニュース・サイトがリストアップされていることに注目してください。その社長であるスティーブ・バノン氏はドナルド・トランプ氏の首席戦略官と上級顧問に指名されてしまいました。悲しきかな。

関連ニュース:スティーブ・バノン氏とはどんな人物か 白人至上主義者がトランプ氏の首席戦略官に

非常に党派的で〜である

次は、“Hyper-Partisan”(非常に党派的)のカテゴリーです。

これもやはり、左に“Hyper-Partisan Liberal”(非常に党派的でリベラルである)もあれば、右に“Hyper-Partisan Conservative”(非常に党派的で保守的である)もあります。

どちらも “questionable journalistic value”(ジャーナリズム・報道としての価値が疑わしい)と評価されています。

メジャーなニュース会社で、その一部がこのカテゴリーに入っているところと言えば、左側ではMSNBCとHuffington Post、右側ではFox Newsというところです。

特に的を射ているこのコメントとアドバイスに注目してください。

Good for confirming your existing opinions but bad for convincing others. Be careful how much you hang out here.
(このようなニュースは)既存の意見を確証するためには良いが、(同じ意見を持っていない)他者を説得するためには良くない。

〜側に向いているが、まだ信頼できる

真ん中に近づきましたが、もう一つ、偏りが見え見えであるカテゴリーが残っています。

左側には“Skews Liberal”(リベラル側に向いている)。右側には“Skews Conservative”(保守側に向いている)。

左右のどちらかへの偏りがありますが、“but still reputable”(まだ信頼できる)と評価されています。

左側のMSNBC、Huffington Post、Slate、The Atlantic、Vox、The Guardianに対して、右側のFox News、The Fiscal Times、The Hill、The Economist、The Wall Street Journalというのがあります。

もちろん、ここでリストアップされているもの以外にも、このカテゴリーに入る新聞、雑誌、オンライン・サイトが数え切れないほどありますが、これらはその中でも有名なところです。

主流(派)・中道派

やっと「安全圏」に入りました

NPR、BBC、The Washington Post、TheNew York Times、NBC News、ABC News、AP、Reuters、USA Today、CNN、The Guardian、The Wall Street Journal、The Economist。

このカテゴリーにリストアップされている新聞やニュースサイト等は、“Mainstream”(主流[派])であり、“minimal partisan bias”(最小限の党派的偏見)を表しています、と。

もちろん、この評価に異論を持つ方は多いと思います。特にトランプ支持者の間では、Fox News以外はどこも信用しない、どこも見ない方が多いようです。しかし、それにしても、これらの会社は信頼できるニュース・ソースとして広く認識されています。

関連ニュース

さて、縦軸も簡単に見ておきましょう。

縦軸の説明

“Journalistic Quality”(ジャーナリズムの質)は以下のカテゴリーに分類されています。図の下から上へと見てみましょう。

扇情的・クリックベイト

質の低いジャーナリズムは“Sensational or Clickbait”と定義されています。

ここで“Sensational”とは「人騒がせな」「扇情的な」という意味です。

そして“Clickbait”(クリックベイト)とは、主にページビュー(PV)を増やすための「ショッキング」な記事のリンク見出しを指しています。あっ、ここの右側にトランプ氏の親友がいましたね。

Basic AF・最もシンプルなもの

へぇ… “Basic AF”という略語は知りませんでした。あまり書きたくないほど「汚い言葉」から派生していますが、書いてしまいましょう。

AF = “as fuck”

これはスラングですので、字義通りに読むことはできません。「非常に」「めちゃくちゃ」という意味ですが、ここではかなり侮辱的に使われているのだと思います。

ご参考まで: アメリカのスラング『Fuckの使い方』【総まとめ30選】

「主流」とは言え、CNNやUSA Todayという新聞は質の低いところに置かれてしまいました。

CNNに関しては、この評価は厳しすぎるかなと思いますが、皆さんはどう評価しているのでしょうか。

USA Todayのことはよく知りません。アメリカの多くのチェーンホテルで無料で提供されていますので、この秋も何回かもらいました。でも、一度も読みませんでした。

とにかく、言ってしまえば、このカテゴリーに入るものは、あまり難しいことを考えたくない、常に刺激を求めている大衆向けに編集されているということでしょうね。

そしてこれです。アメリカ人の平均的な読解レベルは中学生並みだと言われていますので、多くのニュース・ソースが“Basic AF”になっている原因の一つはここにもあるでしょう。

決して良い評価ではありません。しかし、それでもCNNやUSA Todayを読むことは“Better than not reading news at all”(なんのニュースも読まないよりマシだ)というふうに評価されています。

高い基準に達している

多くのものはこの分類に入ります。

“Meets High Standards”、高い基準に達している、ということです。

主流のものであれば、ビジネス会議や知人との会話の中で引用する問題はないはずです(すなわち、恥じることがないはずです)。

この分類の中には、“Local Newspaper in Liberal City”(リベラルな都市の地方新聞)、“Local Newspaper in Conservative City”(保守的な都市の地方新聞)というのがあることに注目してください。

解析的・複合的なニュース・ソース

最後の二つになりましたが、 “Analytical”とは「解析的」「分析的」ということです。そして、“Complex”とは「複合的」「複数の要素を含んだもの」ということです。

この二つの違いは言葉の問題ではないかと思います。何れにしても、より高度で複雑な解説を提供しているリソースです。

かなり左側から右側まで、すなわち、偏りがやや強くても、「解析的」「複合的」なニュース解説であれば、“Great in-depth sources of news”(ニュースをより徹底的に理解するために良い)と評価されています。実際はどうでしょうか。

終わりに

私はちょうど大統領選挙の時にアメリカにいました。しかも、真っ赤なRed Stateであるアラバマ州から、真っ青なBlue Stateであるマサチューセッツ州の両方にしばらく滞在しました。

アラバマとマサチューセッツの地方新聞やテレビ・ニュースにも「赤」と「青」の偏りが見えましたが、予測していたほどひどくありませんでした。

しかし。いや〜、本当に信じられないほど偏っていたのが、やはり、Fox NewsとMSNBCニュースでした。(アメリカでは、日本よりも多くの人がケーブルテレビか衛生放送を受信していますので、Fox NewsやMSNBCのような扇情的なテレビ・チャネルでも、視聴者が比較的に多いようです。)

特にヒラリー・クリントン氏やドナルド・トランプ氏についてのニュースになると、同じ出来事なのに、特に、Fox NewsとMSNBCの捉え方・伝え方があまりにも違っていて、それぞれのチャンネルの取材者が同じ場所にいたのかと思ってしまいます。ニュース速報が出ると、不思議でしようがなく、両チャネルを見比べて、唖然とすることがなんどもありました。場合によってはプロパガンダとしてしか思えませんでした。

Fox NewsやMSNBCのようなニュース・ソースがやっていることを見ると、星条旗の色は本来と違い、偏見に基づいた分裂を象徴している色に見えてきて、最近は嘆いてばかりいます。

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